便宜的に当該構想で指す「新規設計機材群」は「0系」とする。
0系は用途分類別に以下を設定した。
1・簡易線規格短編成用「010系」
2・幹線直通編成用「030系」
3・補助動力用「040系」
また同様基本設計だが、国際観光旅客用途や長距離運行を想定した機材群も考慮し、それらも加えるものとする。
4・国際観光旅客用「020系」
5・長距離対大都市圏直通運行用「050系」
設計の基本理念は次の通りとした。
一、蒸気機関車牽引列車として使用する事を大前提としたものとし、内外装はそれに相応しいデザインとする。
二、その御利用の御客様年齢層が多岐に渡る事を想定して、座席や扉・便洗設備を設計する。
三、過剰な設備は極力排除する。特に客室内の案内表示装置やテレビモニタは不要である。
四、保安に関する設備は御客様の体感イメージを崩さない程度に積極的に採用する。
五、設備的サービスよりも、乗務員等による接客(ソフトウェア)的サービスの充実と深化を図り、よってきめ細かい多用なサービスケアの展開による利用拡大を図るものとする。
その設計の基礎は次の通りとした。
一、国鉄207・209系以降主流となっている軽量骨格構体により、国鉄50系や同12・14系と比較して格段の軽量化が実現している事から、軽量合金及びFRP等素材を多用して現有在来型一般客車(スハフ44型式)と比較して約半分の重量の客車の実現を目指し、編成総体で100トンに対し現行2両を3両へ拡大する。
※小海線C56機及びDD16機の牽引定数を想定基準とした。また、函館本線C623機での悪天候時の許容牽引定数200トンでは現行5両だったが、これを6両、最大7両とする事を目指した。基礎のイメージモデルはJR東日本231系とJR北海道キハ150系としている。
二、電源をディーゼル発電機により供給する固定編成方式とし、各種新基軸の保安設備等を導入する他、「在来型一般客車」のイメージで扉の自動或は半自動を実現し、現行在来型一般客車に対して旅客安全性の向上と、扉警要員の弾力的運用による接客サービスの質の飛躍的向上を図る。
三、外装は蒸気機関車牽引を念頭に在来型一般客車の模写的デザインが最適である。但し材質の軽量化や設計で工夫し、「乗車時のわくわく感」を壊さない様にする事が肝心である。
※原則として国鉄スハフ42・スハ43・オハニ36型式をイメージモデルとした。また「補助動力用気動車040系」は国鉄キハ08・09型式を、「020系」は国鉄20系をそれぞれイメージモデルとしている。通風器(ベンチレーター)は客車の特徴でもあり、この部分は苦慮したが、客室内の換気・浄化に電動空気清浄機と換気装置は不可欠な為、この排気孔カーバーとして設けるものとし、FRPや軽量金属を材質として想定した。
四、内装は在来型一般客車のイメージに重点を於いたものの他に、電源車の接客部分、乗務員室や業務用部分は極力簡素化をしたい。他に座席はFRP成型材を使用し、暖房も節電型の温風式とする等見えない部分では高度技術を多々応用したい。
※車内照明はインバーター蛍光灯や、白熱灯風カバーが有り、節電と軽量化を図るものとする一方、内装では木目調防炎化粧シートや難燃加工の木材化粧板等も利用が想定出来る。座席下暖房の温風式ヒーターはバスで多用されていて、小型軽量で即温が期待できる。また、客室の密閉性は格段と向上している為、室温センサーとの併用で電力の節約も可能である。
五、台車等運行機能や床下機器類は最新のものを使用して、速度性能と安全性能を向上させると共に、使用区間や使用方法の拡大を図り、機材の経済性を増加させるものとする。
以上を基本として設定した。
A・構体は徹底して軽量なものとし、勾配簡易路線での定員増=編成両数増加を計り、収益効率を増強するものとする。
B・構体の減量化と比較して台枠は急加減速及び推進補助機関車等の併用も考慮し、強靱且つ耐用年数が比較的長く持つものとする。この為の増量は避けるべきでは無い。
C・蒸気機関車牽引の大前提に沿って、御利用になる御客様の視点・体感に於いて往年の在来型一般客車を感覚出来得る内外装とする。構体の強度の確保が出来るのであれば、屋根等はFRP等軽量な材料を採用するものとする。
D・基本的に諸々の機器を稼動する電源はディーゼル発電並びに蓄電池で確保するものとし、車軸発電等により走行負荷を生じないものとする。よってユニット式固定編成とする。
E・客用扉は自動或は走行中閉扉時閉鎖作動となる半自動のものとする。
F・便所及び洗面台の汚水汚物は、簡易浄化装置或はタンク式とし、軌道の清潔を図る。
G・空調は長距離運用を専らとするもの並びに食堂・特別室席を除き取付けないものとする。
H・台車は制動装置の作用を確実としたものとして、高速(最高時速105キロ)運転を実現できる運転設備を持つものとする。
A・車体寸法は以下を基礎とする。
(1)構体寸法=全長20500以下(標準20000)/全高3220以下/全幅2900
(2)車体寸法=全長21000以下(標準20500)/全高4100以下/全幅2900
→スハフ42型式を標準とした。
(3)客扉寸法=高2000×幅900(貫通扉部分幅820)
→車椅子乗車を考慮して扉の拡幅をした。但し貫通扉は固定となる部分を従来客車との併結運用を考慮した従前寸法とした。
※単位ミリメートル
B・外装
(1)在来型一般客車のイメージを損なわず外装を考慮した場合、課題はシル・ヘッダーで、従前よりも薄い軽量部品を溶接或はネジ固定する事で再現する。
(2)屋根は基礎構造体は強度保持の為に金属としても、従来キャンバス張りだった部分及び通風器はFRP等軽量材質のもので減量を図る。
(3)扉も同様に軽量材質のものを多用する。
(4)塗装は種類により異なるとしても、シール貼付け仕上げは極力採用しない。
C・便所及び洗面所
(1)便所は一編成に車両数分を設置する。但し一部は男子小用を設置する事で数値的確保を行うものとする。
(2)洗面所は一編成に最低二ヶ所を設ける。手洗い用設備は便所内に簡易なものを設置したとして、蒸気機関車の煤煙による洗面等需要は多く、乗務員執務上からも不可欠である。
(3)水回り設備の集約化による編成全体の軽量化を図る。
(4)旅客サービスの充実をソフトウェア的に補完するものとして、飲料水設備は是を搭載しない。
D・電気
(1)基本的にはディーゼルエンジンによる発電設備を編成に抱えた固定方式での運用なので、個々に発電設備は搭載しない。電源は三相交流180〜440kvAで静音タイプのコンパクトな発電機が多数販売されている為、これを採用するものとした。
(2)発電機停止時等に対処する為の蓄電池は、トラック等で多用されている蓄電池を非常用として搭載する。
(3)電気設備に関しては、以上条件から直流24Vと交流100Vの2系統を供給するものとする。
E・その他
(1)GPS列車現在地モニタの搭載
※カーナビ等で多用されているGPSを利用した現在地モニタを搭載し、事故等緊急時の対処の時間短縮や、警戒活動への活用に多用が期待できる為、是を搭載する。
(2)列車内インターフォン<テレスピ>の搭載
※編成の端部相互の連絡や、旅客サービスの充実に用いる為、有線式(直流6V程度)テレスピ<電話>を搭載、乗務員室に常備する他、この端子を全車に用意し、携帯して使用する事も考慮する。
(3)無線機の搭載
※JR等各鉄道会社採用の列車無線の他に、保安用無線機(タクシー無線方式)を一部に搭載したい。但し路線や区間により変動がある為、その電源端子のみ常備とする。
(4)乗務員室
※乗務員室は一編成中最低2つ以上とし、車掌弁・無線関係・GPSモニタ・テレスピ・放送装置・扉開閉スイッチを装置する。
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