特定非営利活動推進法には「地域の安全」を行う事業と明記され、特定非営利活動法人として独自に市民防犯活動を行うものも随分増えて参りました。しかし、社会文化ボランティア系NPOで警備隊を持っているのは、私達交通文化連盟だけです。

 明確な組織・指揮系統を持って警備ボランティア活動を始めたのは、私達が日本で最初で、昭和57(1982)年5月3日にスタートしました。当初は北海道鉄道研究会(任意団体)の部科として6名が任命され、以来20余年一貫してイベント列車や蒸気機関車運行時の「自主的な防災防犯警備活動」を行って参りました。

 法人の警備隊、と申しましても「警備会社」とは違い、特定顧客との契約に基づく「看守権の受託による防犯防災の監視・管理」を行うのでは無く、あくまでも「列車の安全・定時運行」や「催事の円滑な展開」等交通文化の発展や進展に必要と判断したもの或は要請により出動するもので、交通費も宿泊費も保険も食費も全部各自負担、この当時はボランティアとはそう言うものだったのです。ボランティアは、地位が作られて始められるものでは無い筈で、威張るなんざ言語同断です。積み重ねた実績と信頼以外、何も無い世界で、ことに社会文化ボランティアがまだまだ未認知な我国では、それが大原則でしたし、今日もそれは変わらない様です。

 交通文化連盟の活動は、全体として地味なものばかりで、又直接収益につながる事業も他分野のNPOから比較して少ない中で、鉄道輸送警備隊は最も「利潤」に懸け離れた部門ですが、本連盟の精神である「老いたる同志の築きたる誉の軌道をいざ護り抜け」を直接行動し、直接創る「最も重要な」セクションです。「本日任務、無事故異常認められず完了せり」と言う「滅私奉公」の報告だけが栄誉の証し、でもそれでけでは余りに寂しいから、一応派遣時には交通費の補助を付けたり、無意味でも階級作ったりとして参りましたが、実はそんな誰にも誉められず、表面にも出無い過去の実績が、多くの蒸気機関車運行の支援にも、また交通文化財の保存活用や観光活性化にも結実しているのです。

 地味だけれど確実な交通文化市民運動、それが鉄道輸送警備隊なのです。

警備隊メインへ

次のページへ