映画/ドラマ/娯楽

海峡

(1982<昭和57>年10月12日・東宝)


(スタッフ)

監督・森谷司郎

原作・岩川隆/脚本・井手雅人森谷司郎

製作・田中友幸森岡道夫田中壽一森谷司郎/音楽・南こうせつ

撮影・木村大作/音響・紅谷愃一/美術・村木与四郎


(キャスト)

阿久津剛(鉄建公団竜飛鉄道建設所長〜青函建設局次長)/高倉健

牧村多恵/吉永小百合

成瀬仙太(鉄建公団竜飛鉄道建設所員)/三浦友和

岸田源助(鉄建公団竜飛工区総号令)/森繁久彌

野崎(鉄建公団竜飛工区土木号令)/東野英心

阿久津才次(阿久津実父)/笠智衆

阿久津佳代子(阿久津妻)/大谷直子

阿久津修(阿久津長男)/中川勝彦

修の友人/橋爪淳

田部(国鉄建設線課津軽調査所長)/大滝秀治

鉄建公団理事/小沢栄太郎

金丸五郎(鉄建公団竜飛鉄道建設所所長=阿久津の後任)/小林稔侍

鉄建公団青函建設局員/小林昭二

十河信二(日本国有鉄道第四代総裁)/藤田進


(あらすじ)

 阿久津剛(高倉健)は京都大学地質学研究室から日本国有鉄道に就職して早々、函館の国鉄建設線課調査事務所へ勤務を命じられる。津軽海峡にトンネルを掘る調査の為だった。

 独身者と言う事で最も困難な青森県三廏・竜飛へ赴任した阿久津は、漁船で海峡海底の岩石を採取したり、付近の山岳を調べたりの日々の中で若い女性・牧村多恵(吉永小百合)の自殺を止めると言う衝撃的な出合いをする。

 転勤で一旦は竜飛を離れたものの、日本鉄道建設公団発足と同時に竜飛鉄道建設所所長として戻った阿久津は既に実家の岡山で佳代子(大谷直子)と結婚していた。

 多恵は建設職員宿舎で働いていた。それは阿久津への淡い慕情もあった為だが、何より竜飛で骨を埋める決意をしていたからである。

 北陸本線親不知随道に進駐していた国鉄岐阜工事局直轄「トンネル部隊」の総号令・岸田(森繁久彌)を説得して竜飛へ連れて来た阿久津だったが、その目的は先進導抗を国鉄直轄部隊で掘抜く事だった。しかし・・・それはその後二十五年に渡る死闘でもあった・・・

 東宝創立50周年で作られた超大作。

 岩川隆の原作では一人にまとめられた「岸田源助」だが、実は鉄建公団竜飛鉄道建設所総号令・大谷豊二を、また「阿久津剛」は鉄建公団青函建設局長・持田豊をメインモデルとして数人の姿を重ねている。

 監督の森谷司郎は「八甲田山」ロケハンでここへ来て、以来このプランを温めていたと言うが、カメラ木村・サウンド紅谷・アート村木のスーパーセッションが「全て実物」にこだわる森谷監督のイメージを迫力在る映像にしている。


(エピソード)

 常に強風の竜飛での撮影で、森繁はリハーサル中ずっと周囲の俳優達に支えられていたものの、「本番!」の声と共にしっかりと立ち、風音で周りの俳優達の声が掻き消される中、独り通った声をしていた・・・と伝えられる。

 今日、一癖在る役を専門とする橋爪淳が阿久津の長男と共に青函トンネルの見学に来て事故に遭遇するが、実際の青函トンネル工事現場で撮影され、一生忘れられない興奮と語っている。

 劇中、岸田源助が落命する事故は実際には昭和51年ゴールデンウィークに発生した北海道側切羽出水事故で、実際には犠牲者は無かったものの、青函トンネル工事最大の出水事故となった。

 実は舞台となった青函トンネル先進導抗貫通は昭和57年12月16日で、当初はその実録を編集上本編に加えたいとしていたらしい。


(上映及び販売)

 東宝より税込4725円でDVD発売中。


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