映画/ドラマ/娯楽

大いなる驀進

(1960<昭和35>年11月8日・東映)


(スタッフ)

監督・関川秀雄

脚本・新藤兼人

制作・大川博/音楽・斎藤一郎

撮影・仲沢半次郎/照明・銀谷謙蔵/録音・大谷政信/美術・森幹男


(キャスト)

矢島敏夫(東京車掌区車掌補)/中村賀津雄

松崎義人(東京車掌区乗客専務)/三国連太郎

望月君枝(矢島の婚約者)/佐久間良子

松本芳子(日食乗務員)/中原ひとみ

カメレオンの松(スリ)/花沢徳衛

静岡鉄道公安室員/八名信夫

岡山の医師/小沢栄太郎


(あらすじ)

 東京車掌区車掌補の矢島(中村賀津雄)は、経済的事情を抱えた婚約者の君枝(佐久間良子)となかなか結婚出来ない事に堪り兼ねて、国鉄を辞めると言い出した。それを止めたい君枝は矢島の乗務する5列車「さくら」に乗り込んでしまう。

 国会議員や自殺志望の炭坑主、スリの常習者や命を狙われる謎の男、危篤の母の元へ急ぐ少女や血清を届ける大坂医大の看護士等を乗せた「さくら」は台風19号の中心へ突入する。

 山陽本線岡山駅からEF58電気機関車に換わりC62蒸気機関車の牽引となった20系寝台特急「さくら」は三原駅から2キロのトンネル手前で土砂崩壊に遭遇する。

 暴風雨の中、乗務員達は駆け回る、その姿を見ていた君枝が崩壊した土手に踊り出た!


(寸評)

 20系に置き換えて間も無い「さくら」を牽引するEF58機が「ブルートレイン塗装」な事や、短期間で廃止となった「20系三等座席車」が登場する他、「列車ボーイ」(給仕)こと「車掌補」が主人公なのも凄い。

 見せ場は山陽仕様のC6219機牽引の20系「さくら」の実際編成で、本当に土砂崩壊させた場所で撮影した「三原駅2キロ」のシーン。

 ドラマとは言え列車防護に向かわせたり、近隣駅への連絡に走ったりとリアルである。

 乗客までも復旧にあたるのは如何も・・・と言われる方も居る様だが、断片的に実話をベースとして描かれている事をお断りしておく。

 この直前に公開されてヒットした「大いなる旅路」の続編的作品で、前回盛岡機関区で「実地研修」を経験した三国連太郎さんの専務車掌がやたらにリアリティが在る。


(エピソード)

 「大いなる旅路」の成功で「是非第二弾を!」と国鉄に相談したら、「今度は何処で機関車を脱線させます?」と言われたとか。

 当時、全ての夜行特急が20系になったのでは無かったので、「最新鋭客車」の宣伝の様になっているが、一人の若い国鉄マンの精神的成長を「一晩」のなかで描き、前作の大河ドラマなみ「三十余年」と比べて、「時間的緊張感」が感じられて面白い。

 プロデューサーも監督も脚本もメインキャストも同じなのだが、まるっきり違う雰囲気の画面は「映画全盛時代」を象徴する「情熱」を感じる。


(上映及び販売)

 東映からビデオで販売(税込3990円)で販売されています。


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