平成16年度事業・会計報告 (自平成16年4月1日−至平成17年3月31日)
1・事業の成果
^レールフェステ(交通公園活性化支援事業=交通文化部)
本年度は19日間を全て東京都足立区北鹿浜公園での開催とし、足立区との共催のスタイルとして展開、前年度を大きく上回る24271人の来場を記録した。
当該事業は、交通公園を地域の「テーマパーク」として、家族や地域住民とのコミュニティーステージに変革させる事を目標として特定非営利活動法人認証以前から展開しているが、Nゲージ(縮尺150分の1・軌間9ミリ)鉄道模型とHOゲージ(縮尺80分の1・軌間16.5ミリ)鉄道模型の展示や国土交通省広報ビデオ等ビデオ機器、鉄道模型の無料点検サービスだけで年間2万人を上回る来場者を初めて記録した。
これは来場者の定着と、区共催としてほぼ毎回区広報に告知掲載された影響が大きいと分析している。
並行して、HOゲージ鉄道模型は見学者に操縦を体験させるシステムとし、2651人が利用した。
尚、この事業に関しては中学生から社会人の延べ52名が足立区と松戸市在住のボランティアが専任として任り、派遣幹部を含めて88名が運営、1開催日平均4.6名のスタッフ数で1名当り275.8人の来場者と接客した事になる。また無料点検は7件に止まった。
_交通公園活性化支援受託型事業(交通公園活性化事業=業務局)
足立区との協働事業としてレールフェステと分離した東京都足立区北鹿浜公園の常設鉄道模型管理は、レールフェステ要員の鉄道模型技術向上と、公園サイドの展示物の安定的運営とを狙ったものとして展開し、本年度で2年度目となっていたが、常設されていた区民寄贈のNゲージ鉄道模型の構造物が老朽化し、安定的展示が不可能となった事から12月で管理業務委託を解除し、HOゲージ鉄道模型に改築するものとして1月から作業に着手、3月に公開となった。
仮設での経験は数多い弊連盟だったが、固定展示物としての模型制作は初めてであり、技術向上の点からも大きな成果となった。
一方で、経験の少ない分野の為に試行錯誤も多く、サポート体制や技術的、事業採算的に課題が残った。これに関しては効率的な予算配分と制作進行を分析・研究する専任チームを設けて、新年度に一定の研究完成を目指すものとした他、鉄道模型事業者による常設展示模型に関しても調査を行い、今後に備えるものとした。
`地域活性化支援(地域観光支援=交通文化部)
本年度は小樽市と後志支庁管内の観光誘致支援を、従来のホームページ・レールフェステでのポスター・リーフレット配布と並行して千葉県流山市での「幕末機動警察隊・新選組プログラム」に統合し、流山新選組史跡に仮設した観光案内デスクでも配布し、予想以上の反響を得た。新選組にも多いに関係する小樽の御紹介には御存知無い方も多く、また現地でのまちおこし活動の御案内などを通して小樽観光の一般的イメージである「運河と寿司」に「新選組」との観光イメージを加える事が出来る手応えを得た。当該事業の目的は「地域観光素材の創出とその拡大による新規観光来訪客の開拓」が第一義であり、その上では今後他地域への転用に自信を得た。
a交通文化財調査(=交通文化財調査研究委員会)
設立以来、交通文化財の現況を調査し、地域観光素材の創出を計るものとして来たが、市町村合併と交通博物館移転等でここ数年で現況が大きく変わる情勢となったので、5月の段階で本年度は情報収集と分析に止めた。
その上で当該事業は10月で一旦休止とし、交通情報収集・分析の部分を当該調査・研究の具体化として、「ふるさと鉄道再生プログラム」に編入統合するものとした。
但し、それまで鉄道イベントと言えば「蒸気機関車」であるとの概念を打破し、素材となる列車と地域産業とが密接に連動すれば蒸気機関車運行程の巨額の投資を必要としない「地域観光素材としての列車」が実施出来る事を具現化すべく、モデルケースとしての列車企画の立案に着手、当該事業は10月より「発展的」に「改編」したものとなった。
一方で、市町村や都道府県の財源減少による観光関係予算の減少は今後益々加速化すると見られ、より慎重に企画を編成しなければならなくなり、当該事業の成果の具現化はまだ先となりそうである。
c幕末機動警察隊・新選組(特定地域観光活性化支援事業=鉄道輸送警備隊)
前年度からの継続事業として大河ドラマ放送に合わせて実験的に取り組んだ「新選組」観光支援は、現場に要員を派出して観光案内や催事応援を行う「実動」部分と、弊連盟のホームページを基盤として新選組由縁地の紹介やアンケート等の実施により「歴史文化の観光資源化」の調査研究を行う「ホームページ」部分に区分し、「実動」部分は千葉県流山市流山の「大久保大和守本陣跡」(=近藤勇陣屋跡)での観光案内カウンターの仮設運営・観光案内と総武流山電鉄流山駅頭の史跡案内を展開する一方、流山の観光来訪促進と新選組由縁地広報を兼ねて、レールフェステ開催時に東京都足立区北鹿浜公園で資料配布と観光案内を行い、足立区綾瀬の有志等による「綾瀬新選組ウォーク」(10月開催)並びに松戸市市民活動サポートセンター主催の「矢切歴史探訪ウォーク」(8月開催)では警護・案内の要員支援を行った他、流山商工会の要請で「新選組来訪に関する講演会」(7月開催)等も展開した。
流山での展開では、地元商店街(流山商工会第二支部有志)と老人会「寿会」がやはり観光来訪客に対する接待(無料湯茶提供・臨時グッズ売店・「勇凧」制作実演販売等)を行っており、この地元組織と協働で「本陣の盛り上げ」を行うものとなり、7月の地元祭礼や花火大会・「ゆかたまつり」等で商店街に「溶け込む」形で相互支援体制が構築され、JR東日本主催のウォーキングイベント・新選組サミットイベント等の催事展開で大きな成果を得る事が出来た。
また5月9日より学生ボランティア2名が参加、登録で結果21名の松戸市在住の中学1年生女子学生が参画し、「新選組隊士」の衣装での御案内は来訪客はもとより地元でも好評で、11月の新選組サミットでは拙いものの「舞踊」を披露し、全国の新選組まちおこし組織からも注目されるに至った。
一方で、隣接するとは言え「他所者」として流山市内の一部新選組研究・同好組織や市役所商工課等からは協力拒否に止まらず、妨害的とも受け取られる行為も見られ、当初配布を予定していた流山市観光マップが入手出来ず、結果として自前でマップを作らなければならなくなり、経費的・精神的に継続について厳しい状況となった時期もあったが、「本陣」現有者をはじめとして流山・松戸の幾つかの商店主・事業者が協賛公告費や寄付金を寄せて頂き、自主制作マップは41000部を作る事が出来、保存用数部を残して市内商工事業者や総武流山電鉄流山駅・イトーヨーカドー流山店・松戸市市民活動サポートセンターで完配する事が出来た他、商店街ではほぼ毎回昼食をボランティア全員に無料で提供して頂く等強力な応援も日々増加した。何より、全く接点の無い松戸市の中学生と流山市の商店街・老人会が家族同然の溶け込み的深いコミュニケーションで結ばれ、夏以降各催事で無事故成功を納められ、年度末までに24名の社会人を含む「ボランティア人口と活動機会の創出」を実現した事が最大の事業成果である。
これらの実績から3月には流山市行政サイドの新選組観光推進活動組織「新選組流山隊実行委員会」より公告協賛金と感謝状が付与され、全国新選組サミット準備会(新選組まちおこし全国連絡組織)のオブザーバー団体に加えられる事になった。
尚、実施日数は83日間(流山派遣部分のみ)で、ボランティア活動人口は延べ448名<うちボランティア=特定準会員352名を含む>、御利用人数は30123名となり、レールフェステ・綾瀬派遣等を含めた総派遣日数は89日で、1月1日から12月31日までの本陣来訪客推測値は75000名、これにイベント等の来訪者を加えると約90000名が来訪したと見られる。(交通文化連盟鉄道輸送警備隊算定・流山市長公表値は約40000名)
これに連動して弊連盟で開催した催事は6月6日に参加者20名を数えた「下総新選組行軍」(ウォーキングイベント・松戸駅〜流山本陣間)のみだったが、聖徳大学の歴史サークルや松戸市内はもとより葛飾区や豊島区からも参加があり、あいにくの天候ではあったものの無事故で終了している。
別途、衣装については当初は法被2枚でスタートしたが、後に袴・着物や模造刀・傘等小物まで寄贈が多く集まり、買い揃えたものと合わせて9人分程度まで常備出来る様になった。
衣装については流山市マーケティング課・商工会の協力で法被の無償貸与があり、この支援で演出的にはかなり大きな影響・反響があった。3月からは本染羽織の無償貸与も始まり、新年度の活動に期待を寄せて頂いている。
一方、ホームページ部分では、大阪から小樽に至る全国の新選組由縁地の紹介と、ネットアンケート(2種類)を実施、アンケートは「新選組観光」に質問内容を絞り込み、今後の観光・まちづくり施策の参考資料として関係者・関係自治体はもとより、弊連盟ホームページ上で公開するものとしている。但し、カウンター等設置は個別にはしていないので閲覧者の数値は抽出出来なかった。
dふるさと鉄道再生支援プログラム(地域鉄道存続・利用推進支援事業=交通文化部)
2004年秋以降急浮上した各地の地域交通鉄道の存続及び利用推進を主眼として、ホームページでの情報発信・団体専用臨時列車企画運行・沿線観光素材の効果向上や旅客誘致を具体的方策とした多面的事業で、わたらせ渓谷鐵道をはじめとして全国8社を対象として有効的施策を研究した。しかし、各鉄道が思う以上に地元自治体に依存しなければ事業の継続が困難である事が判明し、鉄道単独にイベントや団体専用臨時列車だけでは存続支援にならないと結論、沿線自治体や商店街等を広く巻き込んだ観光地域おこし運動的流れとしなければ単に交通文化連盟のイベント列車運転で終わる恐れがあり、単発で終わらせるものでは無く、継続的なプログラムを展開するべくローカル私鉄からJRを含めた路線・地域を対象とする様方針を転換、わたらせ渓谷鐵道・房総地域・会津地域の3エリアでの調査・研究を内部的にまとめるに止まった。
具体的には、わたらせ渓谷鐵道現行イベント列車の運転区間拡大による集客増加及び首都圏からの直送運転の可能性の模索や、房総地域(いすみ鉄道・小湊鉄道・JR東日本久留里線)でのイベント列車及び蒸気機関車運行の可能性調査、会津新選組プログラムとの連動による鉄道旅客拡大策の立案などに着手した。
結果としては、やはり弊連盟の主題が交通文化財の保存活用にある事から、段階的にせよ、交通文化財による観光誘致の継続的具体策を低予算で実施出来るものと限定し、わたらせ渓谷鐵道と会津地域の計画実施を最優先として、新年度に実施出来るよう継続して調査・研究・立案を行うものとした。
eホームページ運営(事務局)
諸事情から更新が滞ったホームページの閲覧は本年度は6353件(累計13153件)で昨年度対比減少となった。分野が広い為に複雑で見にくいとの声が多かった構成を10月から再度検証、3月11日より見易いページ構成に全面的に改定、リンク集や交通情報の充実により閲覧件数は増加しつつある。
2・事業の実施に関する事項
本年度は収益事業を行わなかった。
照合 特定非営利活動法人交通文化連盟事務局長 宮本貴之
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