平成15年度事業・会計報告 (自平成15年4月1日−至平成16年3月31日)
1・事業の成果
先ず、本年度の事業計画が当初の計画と異なり、主題・目的が大幅に違わないものに限り一部を訂正、或は緊急性・適時性を求められる事業を急遽追加し、予算の一部組み換えを行った。この為に年末の多忙な時期に緊急理事会を召集し、社員にも参加を求めて討議と決済をする事態となった。
当初の目論見と大きく外れて、結果として中止となった事業は交通文化財講演会・防災ビデオ作成・鉄道輸送警備隊の公開研修会・他NPO交流の4事業、縮小或は今後継続して研究する事となった事業は市民旅行講座・ジュニアレールマン・NPO交流列車の3事業、内容近似の為に統合された事業は交通公園活性化事業と展示物管理支援事業で、計9事業となった。
一方、ホームページとレールフェステは予想以上の結果・効果を得て、特にレールフェステは23日間の計画を17日間と縮小し足立区のみの集中開催としたものの、目標を上回る来訪者を数えた。尚、鉄道模型等の展示物管理支援事業は、足立区の御厚意によりレールフェステに対する資金的助成に代換するものとして統合した。また交通公園活性化支援事業はホームページ及びレールフェステでのリーフレット配布等広報の支援として着手した。
地域活性化支援事業は前年度より継続した小樽市の広報支援が好評だったが、夏以降はこの拡大発展を目指し、平成16年1月より放送される大河ドラマを機会として「新選組」をテーマとした包括的事業計画に発展させて、16年1月より準備始動し、3月から先行して展開した。
また、11月頃より全国の所謂ローカル鉄道が過疎・行政改革・産業構造の変化等により経営危機や経営の断念との報道が流れ、殊に幾度か関わりのあるわたらせ渓谷鐵道に関して、社員一部から存続に向けた支援を行うべきとの強い要望があり、急遽旅客誘致促進と鉄道存続の側面支援を展開する事業を追加した。
総括として、この事業計画の変更の原因は、
@社員・ボランティアスタッフの確保が思う以上に進まず、事業の展開が困難となった。(防災ビデオ制作・NPO交流列車・レールフェステの足立区以外での展開等)要因として広報不足が一番大きいが、社会文化ボランティアそのものの理解がされにくく、直接の事業・活動を見ない場合はイメージが掴みにくい事や、特定非営利活動法人そのものの理解も低く併せて特定非営利活動法人による犯罪や迷惑行為が明るみに出て、忌避されたと分析される。
A鉄道企業の理解や協力が全く得られず断念した。(ジュニアレールマン・交通公園活性化)要因は@と同様で特定非営利活動法人そのものが理解されず、ボランティアと言えば寄付金の要求に来たものと認識されて追い返されたと言う報告もある。また、他特定非営利活動法人や市民団体による苦情や陳情に対する恐怖心や嫌悪感から協力を拒否された企業も少なく無かった。
B地域や市町村、企業に於いての特定非営利活動法人・ボランティア・観光活性化に対する温度差が大きく、複数均一での展開を一点集中に変更した。(交通公園活性化・レールフェステの足立区以外での展開)これは前記の事由とは若干異なり、千葉県知事認証・本部松戸市と言うポイントから判断されたと推察されるが、行政域・県域が異なる事で協力拒否又は黙殺されたもので、逆に支援して頂けた地域や市町村は、国土交通省・小樽市・足立区・松戸市・流山市・宮古市等円滑な御支援の御配慮を賜り、思う以上の資料提供等便宜的措置を過分に頂戴している。
これとは別に現行の各種助成金・補助金や支援の制度は、単一の市町村内での活動や福祉・海外交流・環境に厚く、広義の社会文化NPOは対象とされていないものが殆どであり、社員からも助成金依存の方向の是正の意見も多く出ている為、事業の細分化を改めたものである。
また、参加ボランティアの拡大に配慮が欠けた部分も多く、これらの反省から即応して変更したものもあり、市民団体当時と比較して市民団体のままの方策や基本方針では、特定非営利活動法人はデメリットも多い事を痛感した。
^レールフェステ(交通公園活性化支援小規模催事事業=交通文化部)
当初23日間・2行政域での実施を計画したが、新規ボランティアの確保の難航と新規参加ボランティアが足立区内であった事等から17日間に縮小したが、年度当初から7月までの「勝手に小樽観光推進キャンペーン」での小樽及び北海道後志管内観光のPR、10月からのHOゲージ鉄道模型の体験運転コーナーが好評で、目標を上回る15770人の来訪があった。
更に10月からは区内公園等施設の無料解放日(ふれあいデー)が毎月第三土曜日となった為に、天候が良ければ来訪者数が急上昇する傾向となり、リピーターの増加を呼んでいる。
一方、同じく10月から「交通公園活性化支援事業」と「展示物管理支援事業」が単独での事業展開が困難であると判断された為に、事業・会計を統合し、事業名称も再び「交通公園活性化支援事業」と改正した。これは8月から足立区がレールフェステ展開の資金的支援の代換的措置として、会場となっている同区北鹿浜公園既設の鉄道模型展示物の整備管理を業務委託としてその費用を補助するものとしたもので、レールフェステ会計と同一であり、統合した。
また、各地の交通公園の支援とした部分では、協力の快諾を得られた小樽市小樽交通記念館とR碓氷峠交流記念財団(横川鉄道文化むら)の資料配布をほぼ年度を通じて行い、来訪者から好評を得た。
本年度から導入した体験運転コーナーは、従来模型(Nゲージ鉄道模型、150分の1)に対して80分の1と大きく、別室の使用許可を得て実現したもので、来訪者の中心である幼児よりもその保護者達に好評であり、最長で15分も待ち時間が出る程で、足立区広報にも取り上げられ、また本連盟や御支援ホームページ各サイトや鉄道ファン・鉄道ジャーナルの媒体の広報効果からか区外からの来訪者も多く、昨年度に引続き新規ボランティアメンバーの加盟もあり、本連盟事業では最長で唯一の充実しつつある事業である。
他方、東京都千代田区神田三町会からはこども祭に際しての鉄道模型展示の派遣要請があり、7月27日に派出、来訪者は300余だったが好評で称賛の御言葉を賜っている。
16年3月1日には、レールフェステ専従のボランティアスタッフである村山章が区青少年問題対策協議会・ライオンズクラブからこの活動への顕彰を受けた。
_市民旅行講座「チープトリップ講座」(=社会文化部)
当初は5期・50名を目指したが、講座期間が4日間と延長したので昼間時間帯にしか参加者が集まらず、しかも2期で計9名のみの参加だった為に、春(4月)と夏(6月)及び短縮(7月6・10日、12月4日)のみを実施し、当該事業については今後研究し、再編した上で実施するものとした。参加者は14名だった。
`地域活性化支援(=交通文化部)
前年度より継続して7月末まで、「勝手に小樽観光推進キャンペーン」と題して小樽市と後志支庁管内の観光誘致支援を、ホームページとレールフェステでのポスター・リーフレット配布の手法で小樽市・小樽観光協会の全面的協力で実施し、期間中予想以上の反響を得た。秋以降はこの発展型として別途追加したプログラムに統合し、更に効果的な支援を目指すものとした。
a交通文化財現況調査(=交通文化財調査研究委員会)
8月より16年3月まで4ケ所6機材の現況を調査し、その活用法等の検討を行った。並行して1月よりホームページにて交通文化財に関するネットアンケートを4種類実施し、広く意見を吸い上げ実効性や反響の大きい地域観光産業活性化主眼交通文化財保存活用の具現化を目指すものとした。但し経済環境の厳しい状況であり、今後とも調査と検討を行うものとした。
但し、別途追加したプログラムがローカル鉄道の観光旅客誘致を内容の一つとしており、当該調査の具現化につながるものでもあるので、2月以降は並行作業とした。
また、鉄道輸送警備隊の実施として蒸気機関車運行に際して鉄道マニアの動向等を調査し、防災上の課題についての調査も行ったが、分析までにはまだ多少の時間を要する為に別途発表するものとした。
b少年社会体験型講座「ジュニアレールマン」(=社会文化部)
前述の事由に拠り本年度は実施を断念した。但し、当該事業の持つ必要性と需要そのものは確信出来るものであり、今後も研究を継続し実施を目指すものとした。
cNPO交流列車企画(特定非営利活動法人等交流促進事業=業務局)
当該事業も実施の環境整備に予想以上の時間が必要であり、今後も引き続き研究し実施を目指す。
d幕末機動警察隊・新選組(地域観光活性化支援・国内旅行需要喚起包括事業=鉄道輸送警備隊)
16年度の日本放送協会の大河ドラマが新選組であり、この所縁の土地が関東・東北・北海道に点在する事と、旧任意団体時代より関係のある地域がこれに重なる事から、これを機会として国内旅行の需要を喚起・発掘し、併せて松戸・流山と言う本連盟拠点所在市の観光旅客誘致・活性化支援と鉄道利用推進の多面的効果を目的とした包括的事業計画として7月より準備調査と検討に着手した。
具体的には、
@ホームページに於いての全国所縁の土地の観光案内・紹介を行い、新選組・戊辰戦争史跡への観光来訪旅客の誘致を推進する事による地域支援を行う。
A流山駅頭及び本陣跡での観光案内を、新選組関係史跡に絞り込んだマップの作成・無料配布をベースとして展開し、駅や史跡周辺の商店街の活性化と来訪旅客の誘致及び総武流山電鉄等鉄道利用の促進を図る。
B前項同様の活動をレールフェステ会場や松戸駅で展開し、隣接する松戸・流山相互の市民交流を図る。
C流山及び松戸に於いての観光イベントの企画主催或は連携等により観光来訪客の増加を図る。
D観光案内ボランティアを窓口とし、市民が自己の生活環境に歴史的記憶を留めている事の周知を図り、歴史文化に対する興味を向けてその探究心を発芽させ、また並行して参加制限を極力排除して、ボランティア参加人口を拡大し、より多くの人材を発掘する。
の5点として実施するものとして、当初は16年度からの実施を構想したが、放送期間や話題性のタイミングから考慮し、適時性が重大である内容から、急遽追加して中止となった事業の予算を再編成して先行実施し、ホームページは1月から、流山観光案内ボランティアは3月7日から試験的実施した。
既に小樽市・松戸市・流山市からリーフレット・画像・ポスターの御提供を受けた他、流山商工会第二支部・老人会等多くの全面的支援を頂戴し衣裳・休憩場所などを含めて整備が整い、またレールフェステや松戸市市民活動サポートセンター・イトーヨーカドー流山店・松戸まちづくり交流室等にはマップ・ポスターの配布協力を得ている一方、宮古市からは資料の提供を受け、多面的展開での実施体制が整って3月11日からホームページ・レールフェステ・観光案内ボランティアと連動した展開を行い、来訪客はもとより、市民からの激励・称賛は多く、新年度の継続に弾みが付いている。
この結果、商店会で急遽各種観光サービスが実施され、今後拡充される模様である。
尚、3月31日までに観光案内は428人が御利用となっている。
当該事業は多面的展開での推進と共に、永年継続して結果が定着・明確化される事と、将来的には観光案内と地域防災・防犯活動の並行展開を行う展望として分掌を鉄道輸送警備隊としている。
eふるさと鉄道再生支援プログラム(地域鉄道存続・利用推進支援事業=交通文化部)
11月より急遽追加された事業で、急浮上した各地の地域交通鉄道の存続及び利用推進を主眼として、ホームページでの情報発信・団体専用臨時列車企画運行・沿線観光素材の効果向上や旅客誘致を具体的方策とした多面的事業で、緊急性が高くまた前述の通り社員からも支援活動についての要望が多く上がった為に、任意団体時代よりかかわりのあるわたらせ渓谷鐵道を第一号として、利用促進・現状分析を1月より開始し、群馬県の御厚意で「ワークショップ」へのオブザーバー参加を許され、現状ではダイヤグラムと沿線観光素材の調査を行っている。
fホームページ運営(事務局)
開設より1年以上を迎えたホームページについては、10月に全面的に構成・デザインを改訂し、本連盟の広報の他、交通文化・イベント等の告知に関する機能を拡充し、この改訂から携帯電話等からも閲覧が可能となった。
これに併せて交通・災害の情報を随時発信し、3月からは前述「幕末機動警察隊・新選組」プログラムを編成し公開、3月31日で閲覧数が6800件となり、サーバーの無料提供を頂く特定非営利活動法人NPO情報ネットワークの御支援・御厚情でかなりの情報を掲載するサイトとなっている。
他方で、それまでは本連盟のイベント情報のみを公開していたものを、「新選組」「交通文化ボランティア」に関する内容も掲載し、これも携帯電話等での閲覧を可能とした為に、レールフェステ・流山駅頭での観光案内実施に際してその影響を確認出来るまでに至っている。
但し、複雑である事やコンテンツの単調さに関して御指摘や御意見も伺い、随時改善を行っているが、広く多くの方に差別無く閲覧して頂く為に、特定のパソコン・携帯電話等端末に利用が限定されるアニメーションやプログラム(CGI等)は使用しない方針は不変としている。
2・事業の実施に関する事項
本年度は収益事業を行わなかった。
照合 特定非営利活動法人交通文化連盟事務局 局長 宮本貴之
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