「本連盟は広く国民に対して、交通文化財保存活用とそれらを基とした地域活性化、並びに交通機関利用の促進とそれに連動した国内旅行需要の喚起に関する事業を行い、多くボランティアへの参加機会を創出・提供して、社会・交通文化振興に寄与すると同時に、参加者個々に交通文化財保存活用並びにその技術・精神の後継・継承者として広く社会に有為な人材として共々に成長し、貢献するを目的とする。」(交通文化連盟定款第3条)

 広く社会に有為な人材・・・現実の学校や会社・職場にあって、一生懸命に頑張る人はそれだけで立派に「有為な人材」ですが、どうしても固定された人脈・人付き合いの中では視野も思考も偏り勝ちになります。

 私達の活動(事業)は、どなたでも御参加頂ける様にしております。仕事や学校の都合で月1日や年数日になっても、参加して頂く事が重要だと考えます。その「新しい人との関わりあい」の中で、共感や反発、多くの体験が出来る筈です。それが御参加頂いた方の視野や知識の拡大、そして日々の仕事や勉強の中に直接ではないにせよ、刺激になる事は間違い有りません。そして、一歩引いて見てみると、そんな「仲間」からヒントや元気(時にはストレスも?)、沢山色々な影響を受け合って、結果として自分自身の「精神的な器量」=幅を膨らませているものです。 

 法人化した理由は、任意団体では実現の難しいプロジェクトの実施や、企業や自治体からの事業受託の実現、組織自立の為の収益事業の実施と、その収益による活動の深化ではありました。しかし、何よりも特定非営利活動法人として多様な法的拘束を受ける事で、逆に多くの方に安心してボランティアとして或は社員として御参加頂けるシステムとする事ができる、それが最大の理由です。

 交通文化運動は鉄道や船舶、自動車、航空機の機材車体や関係施設設備、資料の保存が圧倒的多数で、中心的です。

 でも・・・何より「環境」を作る事も不可欠である事は四半世紀の経験から痛感しております。「交通文化運動」は、「地域の元気」を作る事からが第一歩なのです。例えば「新選組」や「義経」に連動した観光案内活動も、一見無関係の様に見えますが、実は「地域の元気」=「魅力的な地域づくり」、そして「鉄道利用の促進」にと続く道なのです。

 しかし最大の肝要は「継続」です。

 蒸気機関車も、今一両復元したとして(実際には移送費と鉄道工場での復元修繕、労働基準監督署のボイラー検査と国土交通省への登録等復元だけでも二億円!)、これを御客様を乗せて旅客列車を牽引させて運行するとなれば、客車も必要です。そして日々の運行には機関士の他、機関車と客車の検査・修繕を行う検修技師も不可欠で、その「技術」を持った技師が高齢化しつつある今日、資金よりその技術の断絶が深刻な問題なのです。

 同様に、活動を行う中で、他に類例を見ないNPOですから、組織が絶えれば私達が継承した或は蓄積した技術や経験が人の為に成らずに消えてしまう、その情熱も・・・しかして、法人として継続する組織の基盤を構築し、その上にこれから参加してくるメンバーの新しい情熱とアイデアが、それまでの何倍ものボリュームで「形」になってゆく・・・これが法人化の本当の目的です。

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